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東大松尾研の無料講座GCIは、AIの基礎をどこまで学べるか|文系学生の受講記録

公開 更新

この記事は、運営者が実際に受講した経験に基づきます(体験)。

プログラミングやデータサイエンスを学ぼうとして料金を調べると、数十万円という数字が並びます。

東京大学が、寄付で運営している無料の講座があります。 審査はありますが、応募に必要だったのは100〜200字の文章だけでした。私は文系の大学3年生で、実際に受講しました。

この記事では、学べた範囲と、無料では届かなかった部分を書きます。無料を勧める記事は良いところだけを書きがちですが、それでは判断材料になりません。

GCIとは

正式名称は東京大学グローバル消費インテリジェンス寄付講座です。企画・監修は松尾豊教授(講座代表)、坂田一郎教授、岩澤有祐准教授。AI研究で知られる松尾・岩澤研究室の講座です。

公式サイトでは、データサイエンスを通じてAIの基礎となる考え方を学び、マーケティングを中心としたビジネス課題解決の力を身につける入門講座と説明されています。プログラミング経験のない初学者も多数参加しているとのことです。

寄付で運営されているため、参加条件を満たし、審査を通れば受講料はかかりません。

対象と日程(2026 Winter)

  • 大学生・大学院生に加えて、中学生・高校生・高専生・専門学校生・短大生も無料で受講できます
  • 社会人は枠が限られます(法人会員の社員、育児・介護による休職者などが一部対象)
  • 2026年10月6日〜2027年1月19日、毎週火曜18:45〜20:30、全15回
  • 後日アーカイブ動画での受講も可能です

申込方法や締切は期ごとに変わるので、公式サイトで確認してください。

GCIベーシック

GCIの準備講座です。夏休みの2か月間で、プログラミング・統計・機械学習の基礎を学びます。私はこちらも受講しました。

受講した講座

受講したのは GCI 2025 Winter と、準備講座の GCIベーシック(2025 Summer) です。

内容は主にPythonの文法とデータサイエンスです。ベーシックでは条件分岐などの基礎とデータサイエンスの入門、GCI本体ではその上位を扱います。学習サポートAIやSlackでのコミュニケーションなど、ツールが多用されています。

以下は2025年に受講した時点の記録です。日程や運営は期ごとに変わるので、最新の情報は公式サイトで確認してください。

文系で数学が苦手でも、ついていけるか

結論から書きます。数学に苦手意識があっても、問題なく進められます。

私は数学が苦手ですが、修了しました。

ただし、楽だったわけではありません。

きついのはデータサイエンスの回

データサイエンスの回は、文系にはかなりきついです。 直観では理解しにくいことが多いからです。

それでも最後までついていけたのは、次の2つがあったからです。

  • 先生がしっかり教えてくれる
  • 学習サポートAIに質問できる

分からないまま止まっている時間が短く済みます。独学で詰まったときと一番違うのはここでした。

初学者はベーシックから受けたほうがいい

ベーシックは初学者向けに構成されています。 GCI本体から入るより、ベーシックから順に受けるほうが無理がありません。

私はこの順で受けました。文系で数学に苦手意識があるなら、ここは飛ばさないほうがいいと思います。

課題と提出期限

課題の提出期限は全部守れました。落としたことはありません。

リマインダーが送られてくるので、忘れることはありません。 講義はアーカイブで後から見られるので、実質的に管理が必要なのは課題の期限だけです。

実際にかかった時間

週あたりの内訳です。

内容 時間
講義 1時間半〜2時間
課題 30分ほど
復習 30分ほど
合計 週2時間半〜3時間

公式の講義時間は18:45〜20:30(1時間45分)なので、講義はほぼ定時どおりでした。課題と復習を足して、週3時間を見ておけば足ります。

学習サポートAIとSlack

学習サポートAIはかなり便利だった

受講専用のAIで、講座の内容を把握しています。 一般的なAIに質問するのと違い、コンテクストを最初から理解しているのが便利な点でした。

「この講座の、この回の話」という前提を説明しなくても通じます。汎用のAIに聞くときは、まず状況を説明する手間がかかります。そこが省けました。

Slackは情報の集約先として機能した

私自身は情報交換には使いませんでした。ただ、情報交換ルームが用意されていて、使っている人はいました。

アナウンスは基本的にすべてSlackで行われます。受講で使うページもすべてSlackにまとまっているので、Slackを開けば迷うことはありませんでした。

受けて何ができるようになったか

誇張せずに書くと、この3つです。

  • 基本的なコードを理解して、書けるようになった
  • 情報システムについて理解できた
  • 小さく作って提出する習慣がついた

3つ目は知識ではなく、進め方の話です。毎週課題があり、提出期限があります。大きなものを作り込むのではなく、小さく作って出す。 この進め方が習慣として残りました。

向いている人

ツールを使って学習したい人、やることが決まっていると行動しやすい人。中高生も歓迎されています。

向いていない人

無料という性質上、自分で続けられない人には向きません。自分のペース(早く、あるいはゆっくり)で学びたい人も、提出期限があるため合わないことがあります。

向き不向きについて、よく言われるのと違った点

カリキュラムを自分で組むのが苦手な人でも、課題と提出期限が用意されているぶん進められます。 向かないのは、取り組み自体を自分で続けられない人です。この2つは別の話です。

無料講座は、自分で学ぶ前提で組まれています。講義と課題は用意されますが、進めるかどうかは自分次第です。

無料では届かなかった部分

無料で学べるのは基礎までです。専門性のあることは学べません。

扱うのは、Pythonのコーディングとデータサイエンスの基礎だけ。それ以外は扱いません。これは欠点ではなく、入門講座としての範囲です。

理解するという面では、無料で十分だと感じました。知識は入ります。しかし、就職後に実践的に使えるかと聞かれれば、NOと答えます。

基礎と専門性のあいだには段差があって、無料講座はその手前で終わります。「ここを受ければITの仕事ができる」と期待すると外します。

実際、私はこの講座のあとにWebアプリを作ろうとして、環境変数やデプロイなど、講座が扱っていない範囲で止まりました。

これから無料で学び始める学生へ

初歩的なことから始めてくれるので、事前に準備しておくことは特にありません。 私も、受ける前に知っておきたかったことは特にありませんでした。

順番だけ意識すれば十分だと思います。

  1. GCIベーシックから受ける(初学者向けに構成されている)
  2. 続けてGCI本体を受ける
  3. 分からないところは学習サポートAIに聞く
  4. 課題の期限を守る(リマインダーが来るので忘れない)

なお、学ぶのとは別に AIツール自体を安く使う話は生成AIの学割をまとめた記事に書いています。学生が使える学割は、調べると1つしかありませんでした。

実践力のほうは、別のプログラムで埋めました

この記事で「無料で学べるのは基礎まで」「実践力は別に必要」と書きました。その部分について、やはり無料のプログラムをもう1つ受けました。

TECH-BASEです。こちらは講義ではなく、同じ時期に参加した人とチームを組んで開発します。 1人で課題を出すのとは別の技能で、GCIでは身につかなかった部分でした。

かかった時間は平均で週10時間で、GCIの3倍以上です。記録はTECH-BASEを実際に受けた記録に書きました。運営が就活支援と一体なので、良い点と注意点が同じところから出てきます。 そこも含めて書いています。

まとめ

  • 正式名称は東京大学グローバル消費インテリジェンス寄付講座。AI研究で知られる松尾・岩澤研究室の講座で、審査を通れば無料
  • 応募に必要なのは100〜200字の文章だけ。結果は数日で出た
  • 数学が苦手でも修了できた。 ただしデータサイエンスの回は文系にはきついので、ベーシックから受けるべき
  • 必要な時間は週2時間半〜3時間
  • 無料で学べるのは基礎まで。専門性のあることは学べない
  • 知識としては十分。ただし実践力は別に必要
  • 知識以外に、小さく作って提出する習慣がついた

迷っている人に言えるのは、応募に必要なのは100〜200字の文章だけで、結果は数日で出るということです。考えている時間のほうが長くなります。

出典・注記

  • 有料のプログラミングスクールに通った経験はないので、有料との比較はしていません
  • GCI Global(英語版のプログラム)は受講していません
  • 2025年期の記録です。日程や運営は期ごとに変わるので、最新の情報は公式サイトで確認してください